灰色キャンバス

革小物、読書、アナログ好きの戯言

先週読んだ本の感想でも(2/22〜2/28)

 

 

見事にアガサ・クリスティーな1週間だった。

あと、子供のために買ったかがくのふしぎシリーズがかなり面白くて、一緒になって読んでしまった。これは子供にも大人にもお勧め。

金田一おっさんの事件簿は美雪はいつになったら登場するのだろう……

 

さて、アガサ・クリスティー3本の感想でも。


オリエント急行の殺人
アガサ・クリスティーと言えば「フェアかアンフェアか?」に尽きる。アクロイド殺しと同じく、この作品でもこれは問われるだろう。

犯人はここでは書かないが、ミステリー好きほどアンフェアと感じてしまうかもしれない。自称ミステリーマニアほど推理できない。個人的にはミステリーというよりも、1つのドラマとして楽しめた。

この作品に限らずだが、アガサ・クリスティーは非常に読みやすい。
簡易的かつ分かりやすい表現にも関わらず、内容が面白いので文句無しだ。フェアかアンフェアを突いたやり方も、今だからこそ逆に新鮮に思える。最近の作品は同じような物で溢れ返っているし、本格ミステリーの類もほぼ見かけないので。

読者を騙したい、楽しませたいという姿勢は、何となく綾辻行人に似ている気がする。

 

春にして君を離れ
この作品はアガサ・クリスティー名義ではなく、メアリ・ウェストマコット名義で執筆し、自分が著者であることを漏らさないように緘口令をしいていたとのこと。アガサ・クリスティーの名で出すと、ミステリーと期待して読んでしまう人が後を絶たなくなるので。

この作品にタグ付けをするなら、#ラブロマンス #ホラー #哀しい物語 #思い当たる節がある
ってところだろうか。

 

主人公のジョーンみたいな人、身近にいませんか? あるいは自分がそうだったりする可能性も。

  • 相手の夢を全力で否定
  • 子供の人生をまるで自分の人生かのようにあれこれ指図する
  • 誰々ちゃんとは付き合わず、この立派なお家の子と付き合いなさい
  • 自分が良いと思ったことを押し付ける

思い当たる節がある人は要注意。

ジョーンみたいに誰からも見放され、孤独になってしまうだろう。まあ、上に挙げたタイプに限って「自分は良いことをした」って思っているので、見放されていることに気づかない可能性もあるが……

とにかく身近な人や自分に当てはまることが多くて怖くなってくる。
これは教訓として人生の早い段階で読み(できれば結婚前が良いだろう)、ジョーンのようにならないよう気を付ける。
否定することはよくやってしまうので、自分も気を付けなければ(もう遅い可能性も)

 


ポケットにライ麦
本書は見立て殺人となっており、読み物として非常に楽しめる。
途中、マッケンジー家の復讐の話が出てきて、ミスリードへ誘うのも◎
マッケンジーの子供は娘だけが生き残っているので、それじゃあ犯人は女の人の誰か? となってしまうとアウト。
見立て殺人も実際は殺害の順番が違い、ちゃんと見立てが崩れるのも細かい。

動機から推理すると、どうしてもパーシヴァルかエレインに行き着いてしまう。
マッケンジーの復讐と併せて、これでは犯人には辿り着けないのが上手い構成だと感じた。動機から推理する人殺しの作品とも言える。

レックス殺しでは、犯人はグラディスを利用した。
これによりアリバイを確保し、時間的不可能と距離的不可能を確立した。