灰色キャンバス

革小物、読書、アナログ好きの戯言

先週読んだ本の感想でも(3/1〜3/7)

先週は7冊。

 

いくつかの作品の感想でも。例の如くネタバレを含むものもあるので、閲覧注意です。

 


スマホ

最近、スマホSNSの類が嫌いなので、気になって読んでみた。ますます嫌いになってしまったことは言うまでもない……
特に気になった部分をピックアップしながら、一言書いていくことにする。

 

ジョブズ子供に対してiPadはそばに置くことすらしなかった
そしてスクリーンタイムを厳しく制限した。仰天した記者はジョブズをローテクな親だと決めつけた

iPadを作った人間がiPadを避けるという現実w

 

マルチタスクを頻繁にやる人は、些末な情報を選り分けて無視するのが苦手
「常に気が散る人はほぼ確実に脳が最適な状態で働かなくなる」 

スマホに通知が来たからといって、今やっている作業を止めてはいけない。スマホの通知を無視するか通知をオフにするか、なんだったらスマホを視界から消すことが大事。

 

ペンはキーボードよりも強し
一部の学生には紙とペン、残りの学生にはパソコンでノートを取らせた
紙に書いた学生の方が講義の内容を良く理解していた
詳細を多数覚えていたわけではないが、トークの趣旨をよりよく理解できていた

パソコンでノートを取ると、聴いた言葉をそのまま入力するだけになるからかもしれない

ペンだとキーボードほど速く書けないため、何をメモするか優先順位をつけることになる
手書きの場合はいったん情報を処理する必要があり、内容を吸収しやすくなる

これはなるほどなと思った。キーボードだと速く打てるからこそ、聴いたままの内容を如何に速く多く入力するかに集中してしまう。
紙とペンであれば、多くは書けないから吟味したり整理しながら、ノートにまとめることになる。
最近、不便なものの大切さが身に染みている。

 

グーグル効果、デジタル性健忘
別の場所に保存されているからと、脳が自分では覚えようとしない現象
脳は情報そのものよりも、その情報がどこにあるのかを優先して記憶する

これもなるほどと。
その知識を記憶するよりも、その知識がどこに保存されているかを記憶してしまうって、オフラインになったら何の役にも立たなくなるやつ。全く恐ろしい脳の使い方だよ……

 


蠅の王

新訳版が出ていたので、かなり久しぶりの再読。

子供たちが無人島に放り出され、友情あり涙ありで協力して助かるという展開とは全く逆のお話で、大人のいない楽園での生活 → ルールが守られなくなり、感情のすれ違いも起こる → 地獄 という展開。
『珊瑚島』を読んだゴールディング「少年というのはそんなに無垢で正義感に溢れているのか?」というセリフを正に表現した作品であろう。

 

子供たちの感情を強く動かすきっかけになったのが、<獣>の存在と、豚殺しと人殺しだろう。結局は<獣>は無害そのものであり、「悪は自分たちの外側ではなく内側にある」に繋がる。

 

疑問として残ったのは、

  • 痣のある子はどこへ行ってしまったのか?
  • ラルフの白昼夢を見ていたが、後半の描写にも混ざっていた可能性
  • サイモンはなぜ蠅の王の声を聞けたのか?

など。これらは様々な考察ができそうで 、読了後でも楽しめる。

 

ほら貝=民主主義の象徴という読み方について。
ほら貝は途中から全く機能しなくなった。これは政治的な見方をすれば、民主主義が簡単に
崩壊すること表している?

 


ゼロ時間へ

ミステリーではなくサスペンス寄りの作品である。犯人はいま風で言うサイコパスだろう。
この作品をミステリーとして読むとどうしても謎解きしてやろう、犯人は誰か?という視点で読んでしまうので、サスペンス物として、またサイコパスに追い込まれていくオードリーの心情を中心に再読すると楽しめそうだ。

 

ゼロ時間という考え方は面白いと思った。

ゼロ時間とは
殺人は事件が起こるはるか以前から始まっている。殺人事件は数多くの様々な条件が重なり合い、全てがある点に集中したところで起こるもの。
殺人事件自体は物語の結末である。

 

この作品において本当の”殺人事件”とは、オードリーの殺害、つまりオードリーに罪を被せ絞首刑にすることである。
それまでの殺人は余興……と言っては失礼だが、本当の”殺人”を達成するための手段に過ぎなかった。